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戦うことを忘れた武装神姫 その15 ・・・その14の続き・・・ 今までにない、変則的なスタイルで勝ちを収める久遠の神姫たち。 そして久遠の付近へ群がるギャラリー。シンメイを迎えに行こうにも、 近づくことが出来ず、店員の手を借りてなんとかフィールドへ到達。 「モードB・レベルF+、解除。および、モードBに音声ロックを。」 セットポイントへ戻ったシンメイに久遠が命じると、右目の色が元に戻り、 動作音も収まった。全能力を対戦闘に投じるモードを解除したシンメイは ふっと一息つくと、 「・・・所要時間6分55秒でした。 目標達成です。」 と言いながら、久遠の手の上へ。 「その計算能力には毎度毎度助けられるよ。 本当にありがとう。」 「べ、別にどうって事はないです。私の出来ることを、いつも通りにこな しただけですから。。。」 ちょっと顔を赤らめるシンメイ。しかし、しっぽはうれしさをストレート に示しており、パタパタと動いている。 久遠、思わず目尻が下がる。 その様子に、取り巻くギャラリーからも、多数ため息が漏れる。ツンデレ の威力、ここに極まれり。。。 「申し訳ございません、マスター。」 ギャラリーも避ける程の重苦しい雰囲気を漂わせるサイトウの元へ戻った コリンが、深々と頭を下げた。 「しかしながら、あのような戦闘は経験した事がな・・・」 「言い訳は聞きたくない。負けは負けだ。お前に付いた黒星は二度と消す 事は出来ない。 解ってるだろうな?」 そう言うと、セットポイントでうなだれるコリンの頭をつまみ上げ、その ままキャリアボックスへ放り込んだ。 まだ目を覚まさないアスタにぶつ かり、コリンは大切な右腕の関節を破損してしまった。 「・・・。 マスター。」 -痛い-。 しかし、その言葉を言うことが出来ない。。。 最後の試合に向け、普段は使うことのない真っ黒なボックスを取り出した サイトウに、コリンが声をかけた。 「なんだ?」 「もう止めましょう。この試合の、マスターの負けは決まっています。」 「・・・。」 「これ以上、私たちに恥をかかせないで下さい・・・。」 「恥、だぁ? 俺に言わせればお前らのせいで俺が恥かいてるんだよ! 俺にはここのトップという立場があるんだ。あのオッサンの黒い奴、あれ 一体だけでも破壊しねぇといけないんだよっ!」 「ま、マスター・・・」 どう声をかけていいか分からず、言葉に詰まるコリン。 「こうなったら・・・こいつで勝負をかけてやる。。。」 と、取り出したるは・・・黒子。しかし、最初のデモンストレーションで 出てきた黒子とは、明らかに雰囲気が違う。 サイトウはもう一体、黒子 を持っていたのだ。。。 「それはダメです!」 目を覚ましたアスタが、その黒子を見て叫んだ。 「どうなっても構わないさ。あの・・・黒い奴を破壊できれば。」 頬に蠍のマーキングが施された黒子を、サイトウは静かに目覚めさせた。 「さぁ・・・行ってこい。 どんな手を使っても構わない。 勝て。」 「ラジャー、Mr.サイトウ・・・。」 サイトウと目を合わせることも、「マスター」と呼ぶこともなく、また、 サイトウがその名を呼ぶこと無く、影のような黒子は起動した。。。 サイトウ側から、負けは決まっていても4回戦をとの申し出があり、急遽 対戦が行われることが決まった。 「てっきり決着付いたし、終わりだと思ってたんだけど・・・」 3勝した時点で試合は終わりかと思っていたた久遠たちは、急いで支度を 整える。 今度のフィールドは、ゴーストタウン。 どんな装備にするか、 リゼの前に装備や得物を並べる久遠。 リゼも、ちょっと面倒くさそうに しながらも、自分にもきっちり出番が廻ってきたことで、甚く上機嫌。 きれいに磨き上げ、整備がされた各種装備をならべ、迷うそぶりを見せる。 「えっこらしょっと。 もうちょっと軽量化しないといかんなー。」 まずはリアユニットを装着し、動作確認をする。 いわゆるフル装備では あるものの、刃物絡みは一切無し。・・・ユニット接続を終えると、久遠 の特製1/6ステアーもどきをいじりながら、リアユニットのアームを器用 に使い、ぼりぼりと腹を掻いている。 「・・・はしたないことは止めなさい。」 その姿を、他の装備を揃えていた久遠がたしなめる。 「だってかゆいんだもん。」 「あのなぁ、一応はお前女だろが。恥じらいを持ったらどうなんだ?」 「ヌシさん、性別も何も、ウチらって機械人形なんだけど。」 「そう言う問題じゃないだろ。」 「えー・・・。」 「確かにお前のアーム捌きの腕前は認めるけど、場所をわきまえよう。」 「ちぇー。」 久遠とリゼがそんなやりとりをしている脇のサイドテーブルでは、仕事を 終えた3人がかえでやティナ、他のギャラリーと歓談中。 リゼと久遠の 漫才に笑うものがあれば、イオとシンメイの姿を写真に収めるものあり、 キッチンモードのエルガとじゃれる神姫あり・・・。まったりと、穏やか な、なごやかムードの久遠サイド。 と、久遠がサイトウ側に、同じ黒子がセットされたのに気づいた。 「うむ・・・ リゼ、相手は同じストラーフだぞ。」 「そうなの?」 と、その黒子を見た瞬間。 リゼの表情が・・・ 凍った。 「お、おい、どうした? リゼ、おいってば!」 久遠の呼びかけにも、リゼはしばらく返事をしなかった。 「ぬ、ヌシさん・・・。」 「フリーズしたかと思ったぞ。 大丈夫か?」 「大丈夫じゃないよ・・・ ダメ・・・ 戦えない・・・勝てない!」 呟くように弱々しく言うと、リゼはその場に座り込んでしまった。久遠は 慌てて手に乗せると、かえでから見えない位置に移動。 「何があったんだよ。」 「あの娘・・・ あたしの・・・ あたしの・・・昔の仲間なんだよぉ!」 ・・・>続くっ!>・・・ <その14 へ戻る< >その16 へ進む> <<トップ へ戻る<<
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270 名前:鼠 ◆KYUSO21aFo [sage] 投稿日:2007/01/21(日) 02 34 25 ID 9Sr6eO3y _人_ . ‐ . . . ̄ ̄ .`丶、 _人_ `Y´ _人_ 「丁 .エ´= . . . . . . . . . . . . .、 \ `Y´ `Y´, -‐  ̄ ̄`丶、 |/, / , - . / . . . . . . . . . .`ヽ.ーァ.┬ 、 / _ -、\ - /_./ { / / ヽ、ヽヽ \/ ./ . / /´ `ヽ、\ヽ/ィ.V_{ ./ハ| .l . .| . . . .. } } } リ小ヽ、V / // /、 、.ヽヽトヽハハ |/ .ハ .l!__lトl| |.| . . . // /イイ..リ. ト..Yヽ _人_ ||| / / /,ムzV-‐ヽ. l_ヽヽV!-|| ////L_、`T| | .. /メォrチ-}/ .ヽ|. ト! `Y´ !|| ! l_ムL ヘト.「ト lヽV|l/}//{!fr心 ヽト/j/´z≦ム| .l .| . / _人_|l !| l| |ト{ _Lj_|ハヽトヽV} | 辷シ^ 仆イl}ノ |! .! V `Y´ ! | 从ハ!z,三、 /r示i`Yトトヽ\ A __丶_ `ー l |. ト. l _人_ } | | l|〈{ lf_jハ 辷ン ´| !トヾー ヽ_. ,┴ュ.ノ . イ ハl ヽ `Y´ //!j,小 ``ー′__ ィ _ _/} |l!リ`ー/ ./! 三ュ .|=<. / ヽ . / ノ从|トlト . _ _ ヽ..ノr ヽヽ〉ノ / /ミy__ ..ゞー} . .l、|. . ヽ. _人_ ´ ヽ ヽ{{ //7T¨´〉 /ヽ. / ..´ ̄_ . -‐ ヽ ..ヾ、r‐_l _人_ `Y´ 〉ー、 厂ヽ \r_ヘ `ー ¨トァ- \ .. ` ..| `Y´ . /--/ | \ ヽ. } / / j´! ` ー┘ | / /.ァ く ヽ..__ノ ./ / / / ヽ.__ イ . / ヽ .ヽ / .l′ .| .{ ヽ { \ヽ{ .. | / . .} アーンヴァル&ストラーフ (武装神姫)
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戦うことを忘れた武装神姫 - type_S -08 楽屋 イオ「こんばんは。今回のお話ではリペイント版として登場いたしました、イオです。あ、塗色ですか?これ、絵の具なんです。」 リゼ「マスターに恋する神姫ってのはよくいるけれどねー。ここまで歪んだ愛を『求める』神姫はそうそういないだろうねぇ。」 イオ「さすがの私も、今回の役は・・・もう二度とやりたくないですよ(苦笑」 リゼ「あはは、そういうと思ったよ。さすがはイオだ。」 イオ「・・・。何か引っかかりますが・・・」 リゼ(汗) イオ「まぁ、いいでしょう・・・ささ、夜も更けてまいりました。それでは・・・」 リゼ「おやすみ~。」 <<トップ へ戻る<<
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武装神姫アーク 火 R (4) 3000+ ヒューマノイド(フレイムランス) ■スピードアタッカー ■パワーアタッカー+4000 ■相手ターン中、このクリーチャーのパワーは+3000される ■このクリーチャーが攻撃する時、相手のブロッカーを持つクリーチャー1体を破壊する (F)もう終わりぃ? 作者:マイルス 代理作成:紅鬼 評価 武装神姫アーンヴァルと戦って神姫バト(黙 えと、効果の方は小さくなった源氏といった感じですね。Wブレイカー持ちじゃないので、使用感覚はロウバンレイに近いかも -- 紅鬼 (2011-01-03 01 53 40) 名前 コメント
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戦うことを忘れた武装神姫 - type_S -07 楽屋 リゼ「どーもー。主演のリゼだよーん。」 イオ「監督のイオです。」 リゼ「この話、細かい設定一切なしなのねん。 皆様で、どういう場面かをどうぞ考えてくださいって方向で。」 イオ「それから・・・マスターが勢いで作ったということなので、お見苦しいこと、どうかご容赦を。」 リゼ「そろそろ本編も進めてもらわないとね。ねぇ、ヌシさ・・・あれ?」 イオ「ふとんの中はマオチャオのぬくもりとか言いながら寝てしまいましたよ・・・」 リゼ「まぁ、いっか。 あたしもヌシさんと寝るー!」 イオ「あ、こら! 監督の私をさしおいて・・・」 かくして、夜は更けてゆく。 <<トップ へ戻る<<
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武装神姫 公式サイト http //www.shinki-net.konami.jp/ wiki http //www33.atwiki.jp/2chbattlerondo/ 自分の神姫とイチャイチャしながら頑張るげーむ 要求スペックが無駄に高いのは許してね! 楽園のプレイヤー(五十音順) FFP名 オーナー名 好きな神姫 一言 少佐 ねこきのこ パチュリー 竜瑠 ヴァローナ ライトアーマー追加はまだかい? まおちゃお 久寺筑紫 はうりん すたれてるなーなのだ・・・ ばいーん ばいーん 飛鳥 くそっ!手持ち二体ともEXになっちまった! おいしい牛乳 おいしい牛乳 フブキ ぱっつんかわいい よくあることとか 無課金でも大丈夫? はっきり言って、辛いですが、不可能ではありません。 課金神姫・課金装備で選択の幅は広がります、が 基礎的な物は無課金でも大分揃います。 それを活かしましょう。あとはマッチ運に期待しましょう。 なにこれホントに勝てるの? はっきり言って、序盤は負けゲーと思ってください いきなりポンポンと勝てるゲームではありません。耐えましょう。 勝てる気配がしないよー 負けたときの、相手の神姫のステータスや武装を参考にしてみましょう。 どんな装備だと勝ちやすくて、どんなステータスが強いのか 観察してみましょう。良いと思ったら取り入れてみるのも大事。 いいところまで行くようにはなったんだけど・・・ バトル開始の前に、相手の装備や戦闘履歴などを見てみましょう。 その人が今までにどの武装を選んで戦ったのか、勝ち負け、そして1~4番の装備等、情報が沢山あります。 装備1ばかり選んでいる人なども良く見かけます。装備1が、もし接近武器だけだったら? 遠距離武器で美味しく食べてあげる事が出来ます。もぐもぐ。 トレーニングしたのに勝てないよー? トレーニング後の神姫は実戦感覚を失い、実力は発揮できません。 主に防御・命中・回避に影響が出ます。 実戦感覚は、トレーニング時のバッテリー消費量と同じ数値で減ります。 基本値を0として、最大-16まで低下します。 (例:中級訓練→消費量1=一回につき1低下) なので、トレーニングというものはすればするだけ、パラメーターは好きな物を選んで上昇させることが出来ますが 直後の戦闘では、「まず敗北してしまう」というデメリットがある物だと思ってください。 実戦感覚って回復できないのー? 勿論出来ます。 オフィシャルバトルを一回行うごとに、4回復します。 最大低下量は16なので、どんな状態でも4回オフィシャルバトルを消化すれば 間違いなく元に戻ります。 買うならどの神姫がいい? ゲームとしてなら 天使型あーんばる!あーんばるを買えばいいと思うの! 使い勝手が良い武装が揃い、また素体も扱いやすいです。 フブキの武装と合わせられる紅緒もオススメできます。 マオチャオも分かりやすいのとプチマスィーンズが割と便利なので良いかも? しかし、愛情さえあれば・・・なんとでもなる物ですよ。 なんとなく落ち着きません! もし手元に神姫がいるなら足をひらいたりとじたりしましょう。 体育すわりをさせてもいいかもしれません。
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闇の中。 静寂に包まれた心地好い暗闇の中。 深く深く、意識がその闇の中へと溶けてゆく。 何物にも代えがたい至福の時。 そんなささやかな幸せを、突然鳴り響いた甲高いメロディーが容赦なく奪い去った。 「うあー……」 再び闇の中に戻ろうとする抵抗も虚しく、俺の意識は一気に呼び起こされる。誰だ、俺の安眠を妨げる奴は。 やかましく鳴り響く携帯を手探りでたぐり寄せ、この諸悪の根源との通話を繋げる。 「もしも……」 『はーやーとー! いつまで寝てんのー!?』 寝惚けた頭に飛び込んでくる怒鳴り声に、思わず俺は電話を遠ざける。こちらの返事も待たずに、あいつはあからさまな不機嫌さをぶつけてきた。 「なんだよ、朝っぱらからうるっせえな」 横目に時計を見るとまだ午前10時。とてもじゃないが健全な高校生が休日に起きる時間ではない。 『なっ、あんたが神姫見たいから付き合えって言ったんでしょー!? それなのにうるさい? そーゆーこと言うの?』 まだ頭がハッキリしないと言うのに、一息にまくしたてられる。えーと、神姫……? あ、そうか。 西暦2036年。 第三次世界大戦も、宇宙人の侵略もなかったこの平和な時代において開発された、全長15センチの自律型AI搭載ロボット、MMS(Multi Movable System)。 その中でも、最も一般的なのが『彼女』達。 オーナーに従い、様々な装備に身を包み戦場へと赴く彼女達。 そんな彼女達を、人はこう呼んでいる。 『武装神姫』と。 『武装神姫ーPRINCESS BRAVEー』 「うわぁー……」 想像以上の光景に、俺は思わず声をあげた。 都内某所にそびえるこの巨大なビル、通称神姫センター。このビルは部品や関連書籍の販売、更にはサポートセンターにバトルスペースまで、全てが武装神姫を取り扱う施設となっている。 そして俺はその中の販売コーナー、神姫本体の売り場に来ているのだが。 「これ全部そうなの?」 フロア全体に渡って所せましと陳列された神姫。カブトムシ型やコウモリ型、騎士型にセイレーン型、更には戦車型にシスター型とかなりの種類が並んでいて、あまり知識のない俺にはなにがなにやらまったくわからなかった。 「うん、すごいでしょー? もう随分シリーズも続いてるし、タイプ別に色々出てるからね」 舞はどこか嬉しそうに――おっと、そういえば自己紹介がまだだったな。 俺は新藤隼人。健全な男子高校生だ。以前からバトルに興味があり、ちょうど身近に神姫オーナーがいた為、俺も同じ武装神姫のオーナーになる事にした。 そして、その身近なオーナーというのが彼女、比々野舞(ヒビノ マイ)。家が近所だった事もあり、小さい頃からの腐れ縁を現在進行形で続けている。 後ろに結い上げたセミロングの黒髪と、丸い大きな瞳。 起伏の乏しい体を黒いボーダーラインのロングTシャツと袖のないパステルブルーのパーカーで覆い、青いキュロットから伸びる細身の足元には水色のスニーカー。 好きな青い色を基調としたその服装は若干の幼さを感じるが、露出した肢体は健康的に締まっていて、活発そうな印象を受けるだろう。 悪くない。うん、決して悪くない。 「……イヤラシイ目で見ないでよ、えっち」 「イヤラシクないですー。ちょっと客観的に観察してやっただけだよー」 舞はわざとらしく体を隠すと、冷ややかな目で俺を睨む。長い付き合いだが、そんな恥じらいがあったとは知らなかった。 「ふーん、変なの。ま、別にいいけどさ。隼人なんかに見られたって」 その発言は誤解を招くぞ。見てもいいのか?いいんですか?それとも異性としての意識が無いという事だろうか。うん、まったく興味が沸かない。 とにかく、舞はずいぶん前から神姫を所有しているので、初心者の俺としては色々意見を聞けるのは助かる。 ついでにこいつの神姫、天使型アーンヴァルのヒカリも紹介しておこう。片側だけ編みこんだ髪を耳の後ろに垂らしているのがトレードマーク。生真面目で大人びたアーンヴァルタイプには珍しくちょっと子供っぽいが、元気で可愛らしい娘だ。 このヒカリが俺も神姫を買おうってきっかけを作ったんだが、その辺りはいずれまた。二人は姉妹のように仲がよく、今日もヒカリは舞の肩に座って足をブラブラさせている。 「んで、どれ買ったらいいんだ?」 「自分で選ばなきゃしょーがないでしょー?どんな性格がいいかーとか、どんな戦い方したいーとかないの?」 舞は立てた指を左右に振りながらいくつかの選択肢を示していく。しかし、その動きに釣られてふらふらと頭を揺らすヒカリが気になって、話の内容はほとんど聞こえてこなかった。 「だいたいこんな感じかな?どう?」 「え?ああ、格闘戦がいい」 話は聞いていなかったが、戦い方ならそれしかないだろう。男だったら拳で語ってこそ。戦うの俺じゃないし、神姫は女の子だけど。 「アーンヴァル!天使型アーンヴァルがいいと思うの!」 舞の肩で話を聞いていたヒカリが、未だにふらふらしながら棚の白い箱を指差した。酔うぞ、お前。 さて、アーンヴァルか…… 確か高機動射撃タイプ、だったハズだ。初心者でも安定した勝率を狙えるとネットでの評判もなかなかだが、どうも俺の性には合わない。 「あすみん先生自重。そもそもアーンヴァルは格闘向きじゃないだろ?舞ともかぶるし、ややこしくなるって」 「むー、妹が欲しかったのに……」 「なんだ、そーゆー事か。ま、そうガッカリすんなって。後輩には違いないし、それなら妹みたいなもんだよ」 「んー、そっか。ならいいや!へへー、楽しみだなー♪」 頬をふくらませてすねていたかと思えば、もう屈託のない笑顔を見せている。幼さすら感じさせる彼女だが、俺も舞もそんなヒカリの笑顔が大好きだ。俺の神姫になる娘も、こんな笑顔を見せてくれるだろうか。 「あっ、ねぇこの子なんかどうかな?あんたにぴったりだと思うんだけど」 辺りを物色していた舞は一体の神姫を手に取ると、俺に差し出した。パッケージには獣の耳を模したヘッドギアと大きな手甲、そして焼ける様な橙色の瞳が印象的な少女が描かれている。 「犬型、ハウリン?」 「そ。いわゆる万能型なんだけどメインは近接格闘戦だし、防御力も高めだからあんたの要望にもぴったりでしょ?そーれーに……」 舞はぴっと指を立て俺に向き直ると、からかうように微笑みながら言葉を続けた。 「この子の性格。誰かさんみたいな、熱っ苦しい熱血感」 「誰が熱苦しいんだよ?失礼なヤツだな。でもまあ、たしかに悪くはないかもな」 僅かに胸が高鳴る。舞の手からハウリンの箱を受取ると、自然と俺も微笑んでいた。 「決まりだな。俺の相棒」 「なぁ、こーゆーパーツも買った方がいいのか?」 武装神姫、犬型ハウリンの会計を済ませた俺達は、別フロアのパーツ売り場に来ていた。 ここは剣やライフルなどの武器や、アーマー類他神姫用の服、装飾品などのパーツを扱っているフロアだ。基本セットにも武装は同梱されているのだが、戦略の幅を広める為にもこういった物が必要になってくるらしい。 「んー、まだいいんじゃない?実際に戦わせてみないといろいろわかんないでしょー?」 なるほど、もっともなご意見。確かに数さえ揃えればいいというワケでもないだろうしな。値段もバカにならないし、必要最小限に抑えたいトコロだ。 「ね、隼人。それよりちょっと上、覗いてみない?」 「上?」 なにやらそわそわした様子の舞からの提案。この神姫センターは七階建てで、一階から五階の各フロアが販売スペースになっている。そして、その上にあるのは―― 「うわぁー……」 俺は今日何度目かの驚嘆をあげた。 舞に連れられて見学に来たのは、武装神姫を所有する上では特に重要な場所。俺にとっては一番の目的であり、これから幾度となく訪れるであろう場所。 『神姫センターバトルスペース』 そこにいたのは思い思いにセッティングされた神姫と、そしてそのオーナー達。普段に比べれば空いているらしいのだが、それでもかなりの賑わいを見せている。 各対戦ポットには観戦用のモニターが設置され、中央の巨大なスクリーンにも今まさに行われている対戦の模様が映し出されていた。 「すげぇなぁ……」 「ふふん、びっくりしたー?大会の時とかはもっとすごいんだよー?」 後輩が出来て嬉しいのか、ただただ感心する俺に、ヒカリはなだらかな胸を張りながらあーでもない、こーでもないとの解説を始めた。曖昧でおおざっぱな説明なのでほとんど理解出来ないが、微笑ましいのでよし。 「へーぇ。ヒカリもここでがんばってるのか?」 「うん!あたし、すっごい強いんだから!隼人にも見せてあげるね!」 「そっか、よしよし。楽しみにしてるからな」 指先でぐりぐりと頭を撫でてやると、ヒカリはくすぐったそうに顔を綻ばせた。 「えへへー。ね、舞。せっかく来たんだからバトルしてこうよ!」 「今日はダーメ。武装持ってきてないもん。それだけじゃバトルは無理でしょー?」 すっかりご機嫌になったヒカリ。余程いいトコロを見せたいのか、戦いたくて仕方ないらしい。が、今日の彼女は飛行用のフライトユニットをしょっているだけ。神姫のパーツにはバトル以外、日常生活に使えるものも多く、ヒカリも普段はこれで飛び回っている。サイズの小さな神姫には人間の生活スペースでも広すぎる為、普段からこういったパーツを付けた神姫は多く見られる。 「えー、ヤだー!隼人にかっこいいとこ見せるのー!ねー、舞、武装取りに行こ!」 「ダメったらダメ。ヒカリー?今日はいい子にしてるって約束したでしょ?わがまま言わないの」 「でも……」 「今度また準備してから来ようぜ?そしたら俺も神姫連れて来れるし、ヒカリはその時カッコいいトコ見せてくれよ。今日はここの事を教えてくれればいいからさ」 俺も見かねて口を挟む。俺のせいで怒られたのでは可哀想だ。なんとか興味を他に移そうとするが、ヒカリはなかなか納得してくれなかった。 「むー……ヤだ!あたしは今がいいのー!」 「あっ、こら!」 ヒカリは舞の肩から飛び降りると、そのまま人混みの中へと飛んでいってしまった。 「ヒカリ!あぶないから……」 「きゃあっ!」 舞が言い終わるより先にヒカリが悲鳴をあげた。 「ってーな!なにすんだよ!」 続けて聞こえたのは男の怒声。どうやら急に飛び出した為に、誰かにぶつかったらしい。舞と一緒に慌てて声が聞こえた方に駆け付ける。人とぶつかっただけだとしても、僅か15センチ程しかない神姫にすれば破損の原因には充分すぎる。 「ご、ごめんなさい……」 「すみません!大丈夫でしたか?」 ヒカリは……うん、無事みたいだ。心配したような事故には到らなかったようで、怯えながらもぶつかった相手に頭を下げていた。 「なんだよ、お前の神姫か?どうしてくれんだよ、これ!」 ぶつかった時にぶちまけたのか、男は染みのついた上着と潰れた紙コップをいかにも不機嫌そうに舞に突きだした。 「あの、えっと、あたし……」 「ほら、ヒカリもちゃんと謝って」 涙目でうろたえるヒカリをなだめながら、舞が深々と頭をさげる。 「本当にすみませんでした。あの、クリーニング代はお出ししますので」 「ご、ごめんなさい!」 「謝って済んだら警察はいらねぇよ!それより……」 男はそこで言葉を切ると、舞をじろじろと舐めるように見始めた。とても人格的に優れた人物には見えないが、まだ言い掛かりをつけるつもりだろうか。 「そうだな。ちょっとオレに付き合うなら許してやってもいいぜ」 あまりにもセオリー通りの絡み方。オヤクソク、というヤツだろうか。今時こんなヤツがいるとは思いもしなかった。国に天然記念物として保護してもらえよお前。 「え?そ、そんなこと言われても……」 舞もヒカリも、ちゃんと頭を下げて謝っている。既に出来うる限りの礼を尽しているのだから、今更そんな筋合いは無い。 「お前、いつの時代のチンピラだよ?」 異性に対しては人見知りの激しい舞。そんな舞を、これ以上黙って見ている事は出来なかった。こういうタチの悪そうなのは早めにお帰り願うのが一番だろう。 「なんだ、お前?」 「その娘らのツレだよ。お前こそなんだ?こっちは充分謝ってんだろ?」 俺はとにかく威圧的に言葉を放つ。このテのヤツは強気に出られるのには弱いハズだ。 「ぶ、ぶつかって来たのはそっちだろ!?」 やっぱりオヤクソクだ。もうどもりだした。こうなったらもう一押し。この調子で続けてやれば適当な捨てセリフでもはいて退散するハズ。 「だからさっきから謝ってんだろ?しつこいんだよ、大の男が」 「だ、だったら……だったら神姫バトルでケリつけようぜ!」 そう、セオリー通りにこれで退散……しないのか。いや、そんな事より。 「ち、ちょっと待て!なんでそうなるんだよ!?」 「お前らだって神姫オーナーだろ?だったら決着はバトルでつける!公平な条件だ!」 どんな理屈だ。この野郎、開き直ったな。 「おれが負けたら全部チャラにしてやるよ!ただし、そっちが負けたらおれの言う通りにしてもらうからな!」 言いながら舞を見るといやらしい笑いを浮かべる。ちくしょう、時代劇の悪代官みたいなヤツだ。 「舞、隼人。ごめんなさい、あたしがわがまま言ったから……」 「いいんだよ。ヒカリはちゃんと謝ったんだから」 「隼人、でもどうしよう……」 舞はもう泣きだしそうな顔だった。こんな顔を見るのはいつ以来だろうか。子供の頃から泣き虫で、しょっちゅう慰めてやったっけ。そしてその頃の気持ちは、まだ俺の中に残っているらしい。 「大丈夫。心配すんな」 俺は出来るだけやさしく微笑んで、そっと舞の頭をなでてやる。舞の泣き顔も、ヒカリの泣き顔も見たくない。沸き上がる感情はもう抑えられなかった。 「こいつを泣かせたヤツは、昔から俺か姉ちゃんに凹まされる決まりになってるんだ。俺が相手してやるよ。文句はないだろ?」 「別にどっちでもいいぜ。なんなら二人まとめてかかってくるか?」 かなりの自信があるようで、男はニヤけ顔で余裕を見せている。今のうちに笑っておけばいい。すぐに笑えなくしてやる。 「隼人!?相手してやるって言ったって……」 「ああ、俺と……コイツでな」 目を白黒させる舞に、俺は持っていた荷物を軽く掲げる。余程驚いたのか、その表情のまま一瞬凍りついてしまった。女の子がそんなおもしろい顔するもんじゃないぞ。 「コ、コイツってさっき買ったハウリン?無理だよ!まだセットアップもしてないでしょ!?」 「今からやる」 「でも!」 「大丈夫だって、いい子で待ってろ。さて、それじゃセットアップしないとな。手伝ってくれ」 「……いつもそうだよね、隼人は。ごめんね、頼ってばっかりで」 未だに納得いかないようだったが、説得は無理だと悟ったらしく、舞は少し困り顔で微笑んだ。 「いいからまかせとけって。ほら、それよりセットアップ教えてくれよ」 「うん。セットアップって言っても、必要なのはCSC(Coar Setup Chip)のセットとオーナーの認証の二つだけなの。コアユニットの胸を開いてみて」 パッケージを開くと、文字通り『小さな』女の子が眠るように横たわっていた。その寝顔はまるで本物の少女のようだったが、肩や膝等、間接の可動部分が彼女がロボットだという事を思い出させる。 舞の指示に従い、小さな少女の胸部をそっと取り外す。するとちょうど心臓にあたるその部分に、三つの穴の空いた円環状の回路が走っていた。 「そこにCSCを三つセットするの。その組み合わせで神姫の特性が決まるものだから、慎重にね」 「このちっちゃい宝石みたいのがCSCだよな?」 BB弾より更に小さな色とりどりの球体。これが神姫に『命』と『心』を宿らせる為の物らしい。 「そう。赤いルビーが攻撃特性、黄色のトパーズが命中特性で……」 「全部赤」 「ちょっ、慎重にって言ったでしょ!?ちゃんと考えなさいよ!」 「おばあちゃんが言っていた。やられる前に殺ればいい!それにほら、主人公的にも色はやっぱ赤だろ?」 あくまで舞の意見は参考にして、赤く透き通った珠を神姫の胸に填めこんだ。三つ全て取りつけると仄かな光が回路を走り、CSCがうっすらと点滅し始めた。 「もう、おばあちゃんそんな人じゃないでしょー?知らないからね?……じゃあ胸の回路を閉じて……そう。さ、起動するよ」 「え、もう?」 キューンという小さな電子音をあげると彼女は静かに眼を開き、深い眠りから目覚めようとしていた。少し間をおいてゆっくりと起き上がると、正面にいた俺を見上げ、始めての言葉を発した。俺の神姫が、起動した瞬間だった。 「あなたが、私のオーナーですか?」 「ほら隼人。オーナー認証して」 「え?あ、ああ。そう、俺がオーナーだよ」 「……認証しました。これからよろしくお願いします、マスター」 そう言うと彼女は深々と頭を下げた。礼儀正しい性格のようだ。うん、こういうことは最初が肝心だ。 「こちらこそ、よろしく」 俺は掌ほどしかない小さな彼女に手をさしだす。一瞬戸惑いを浮かべた彼女だったが、すぐに指先を両手で握り返し、嬉しそうな笑顔を見せてくれた。 「はいっ!」 「オイ、いつまで待たせるんだ?それとも逃げ出すための相談でもしてるのか?」 「誰が逃げるか。すぐ相手してやるから待ってろ」 「こっちはいつでもいけるぜ。なあ、アル?」 男が腰のポーチに声をかけると、そこから小さな影が飛び出してきた。赤を基調とした体のペイントに、緑色の髪を頭の両側で結い上げた神姫。なんだかリンゴっぽい。 「もちろん!実力の差を思い知らせてやるんだから!」 「サンタ型ツガル……高機動狙撃型よ」 舞が小さな声でつぶやいた。先程の説明を聞いた限りでは、とても相性がいいとは言えない。どうやら楽に戦える相手じゃあないようだ。それにしても、サンタ型ってなんだろう。色? 「あの……マスター?」 考え込んでいると、ハウリンが不安そうに声をかけてきた。今の状況が把握しきれていない様子だ。 「ああ、そっか。実はいきなりで悪いんだけど、お前に戦ってもらいたいんだ。起動したばっかりだから無茶だとは思うけど……大丈夫か?」 「確かに、通常ですと起動直後の各モーメント制御、及び演算機能の最適化などは日常生活のような負荷の少ない状態で行っていくのが最善です。起動直後の、しかもバトル中に行うというのは少なからずリスクも伴います。ですが――」 彼女はあくまで簡潔に、そして淡々と俺の問いに答える。それはそうだ。どんなに精巧に出来ていても彼女は人工物、『ロボット』なんだ。でも彼女は―― 「私は『武装神姫』です。いつ、いかなる時であっても、マスターの為に戦ってみせますよ」 彼女の眼は、その燈色の瞳は、たしかに力強い光を放っていた。凛とした闘志をみなぎらせて。 「よし、凛だ」 「え?」 きょとんとした顔の彼女を掌に乗せ、もう一度呼び掛ける。名前、俺の武装神姫の、その名前。凛々しく、力強くあって欲しいと願いを込めて。 「お前の名前。『凛』。お前は今から凛だ」 「『凛』……」 「さあ、そんじゃあ頼むぞ凛!」 「はいっ!任せてください!」 俺と凛。俺達二人の物語が、今始まろうとしていた。
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戦うことを忘れた武装神姫・各種設定-1 ~久遠とその仲間たち~ 登場人物 久遠家 知り合いな人々-1 知り合いな人々-2 久遠家 久遠(ひさとお) 薄給気味の斜壊人、実年齢の1.5倍にいつも見られる20代後半。 愛車はショップ特製・絶滅しかけの2ストローク125ccスクーターと、 父から譲り受けたS社の(登場時は最新型だった)400ccモタード。 ヨツワは仕事でも使うので、ワンボックス商用軽カー。 エルガ(Erga)(猫爪) 好き:昼寝、魚肉ソーセージ 嫌い:犬(リアル犬) 属性:うにゃー シンメイ(Synmei)(吼凛) 好き:機械いじり、りんご 嫌い:怖い話(夜眠れなくなる) 属性:ツンデレ イオ(Io)(アーンヴァル) 好き:お散歩、チョコレート 嫌い:雨(濡れること) 属性:まったり リゼ(Lize)(ストラーフ) 好き:月、プリン 嫌い:月のない夜(闇への恐怖) 属性:姉御気取 ミツバ(Mitsuba・御翼)(エウクランテ) 好き:鉄道、唐揚 嫌い:孤独(ひとりぼっち) 属性:妹(イオ直系) 知り合いな人々-1 かえで(川崎かえで) T市にある、川崎製麺の令嬢。一見中学生に見られる、ちっこい高校生。 ティナのオーナー。 学業成績優秀な、アウトドア派。 生真面目な熱血系の兄がいる(次期社長)。 ティナ(Tina)(猫爪) 好き:かえで、昼寝 嫌い:刺激の無い生活 属性:秘書(かえでのPDA状態) フィーナ(Phina)(ストラーフ) 好き:甘物、コスプレ 嫌い:星の見えない夜(闇への恐怖) 属性:リーダー(メイド長) 川崎 啓衛(かわさき ひろえ) かえでの父で、川崎製麺の3代目社長。引きこもりがちなかえでに、ティナを 買い与えた経緯がある。 製麺技術に関しては自他共に認める天才。 実は、元・映画監督と言う肩書きも持っている。 知り合いな人々-2 八御津(やみつ) ブリッツのマスター。 事務機器販売の会社員。 ひょんなことから久遠に出会い、大きな転機を迎える。 公式リーグでも相当のランクにあがりつつある、有力者。 ブリッツ(Blitz)(ヴァッフェバニー) 好き:マスターが塗ってくれた空色の装備 嫌い:腑抜けたモノ 属性:負けず嫌い <<トップ へ戻る<<
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戦うことを忘れた武装神姫 その11 ・・・その10の続き・・・ 「『おめざめはおたま』、かぁ。。。ありゃ俺でも痛いし。神姫だったら下手すりゃ致命傷になるぞ。」 苦笑いをしながら、イオを肩に乗せてフィールドに歩み寄る久遠。 「・・・そういえば、ヌシさんが朝起きないときはエルガがいっつもアレをやってたっけ。 あの間合いと速度は・・・流石だわ。」 「ええ、その後毎回のたくってましたよね、マスター・・・。」 モニタ席に残ったリゼとシンメイが、フィールド上で誇らしげにおたまを かざすエルガを見ながら言っていた。 シールドが解除され、エルガは久遠の姿に気づいた。 「おー、よしよし。良くやったぞー。えらいえらい。」 「にゃーさーん! たっだいま〜! 勝ったよー!」 久遠に飛びつくエルガ。だが、右手のヤンチャオを装備したままだった為、ヤンチャオが久遠の腕にざっくり刺さる。 「あ・・・。ごめんにゃさ〜い。。。」 「痛いけど、この勝利に免じて無罪放免である、ってね。いやぁ、お見事。まさか台所のフィールドがあるとは。やりやすかったろ?」 「うん! それに、おうちのよりきれいだったから、走りやすかったの。でもね、隠れるところが少なかったからちょっと大変だったかにゃー。」 「エルガ・・・それは大きな声で言うところじゃないよ、俺の部屋が散らかっていることを暴露している以外の何物でもないんだから・・・。」 周囲のギャラリーからは笑い声も聞こえる。 妙に和やかな久遠サイドの反対側では、まだ目を覚まさないアスタを乱暴にストックボックスへ放り込むと、サイトウは無言のまま次の対戦に使用する神姫の装備を選んでいた。その雰囲気に、彼の応援団もだんまり。。。 「ネクストフィールド、準備完了しました。」 ジャッジマシンが告げた。今度のフィールドは・・・ RPG・ダンジョンスタイル。 「あらぁ・・・かわいらしい舞台ですねぇ。」 久遠の肩の上に乗ったイオが、フィールド上に構築されたちょっと不気味な、地下神殿遺跡の様子を見ていった。 「か、かわいらしいのか?」 「えー?そう思いませんか?」 首を横に振る久遠とエルガ。 「まぁいいや。えっと、次はイオが行くんでいいのかな?」 「はい〜。どこまで出来るかはわかりませんが・・・ よいしょっと。」 フィールド上に降り立ち、久遠から装備の入った袋を受け取ると、ちょいちょいと装備を調える。 「にゃー、イオぉ、かっこいいよぉ!!」 装備を終えたイオの姿に、エルガが目を輝かせる。 「え・・・そうですか?」 ちょっと恥ずかしそうにするイオの姿に、ギャラリーも集まる。基本は白子装備・・・なのだが、翼がちょっと独特の形状になっている。 そして補助翼の代わりなのだろうか、ツガルの装備を真っ白にリペイントしたものを適宜追加。 そして翼には、ブースターではなく埋め込み型のジェットエンジンタイプの推進器。ツガル装備も翼+ジェットエンジンも、CTaから(久遠が知らぬ間に)もらった、とのこと。 「はいはい、すみません。写真はあとでお願いします。 時間押しちゃうんで・・・」 珍しい姿に写真を撮ろうと集まったギャラリーをかき分け、フィールドにイオをセットした久遠。反対側では、待たされて、より不機嫌さが増した顔付きのサイトウが、フィールドに合わせたのであろうか、「あの」騎士子をセットしていた。 「それじゃ、いってきまーす。」 手を振るイオに久遠とエルガもまた手を振って応える。 フィールドバリアがおろされ、第二試合が始まる。 「第2試合、アーンヴァル『イオ』 VS サイフォス『ディサ』、試合開始いたします。」 そして、再びの静寂-。 「Ready- ・・・GO!」 『行け!あの装備なら動きは鈍いはずだ!』 サイトウに命じられ、ジャッジが言い終わるか終わらないか、フライングとも思える速攻のサイフォス・ディサ。 「とああぁぁあぁ!!!」 デファンスを構え、重武装に身を固めたディサだが、その重量をものともしない速さでイオに迫る。 だが、イオは・・・ 「・・・おかしいですねぇ・・・。エンジンに火がつきません・・・」 グリグリと推進器のダイヤルだのスイッチだのをいじる。その様子を確認したディサは、一撃で勝負を決めようと、狙いを定め・・・。 「あ、忘れてました、安全装置。 えっと、たしk・・・きゃーーー!!」 安全装置を解除した途端、左の推進器のみが全開に。反時計回り方向に、もんどりうつ形で転がっていくイオ。 「な・・・っ!」 結果として、ディサの突撃をかわすことになる。イオは転がって、神殿の柱にぶちあたってようやく止まった。 「もう、CTa姉様の作るものはいっつも何か抜けているんだから・・・。」 と、自らの装備をチェックするイオに再びディサのデファンスが迫る。 「とあぁ!」 「あらまぁ、 補助翼が一個取れてますね。よっと。。。」 さっと、イオは足下に落ちている補助翼を拾おうと頭を下げ、またしてもディサの突きをかわす。 モニターを見ながら顔が引きつっている久遠に、リゼがお茶を持ってきた。 「ヌシさん、大丈夫か?」 「あ、ありがとう、リゼ。。。 イオのやつ、天然なのはわかるけどさ、なにもこんな場でも発揮しなくたっていいだろうに・・・。」 「それがイオなんだってば、ヌシさん。それに、あいつの強運は恐ろしいくらいだし。」 とにこやかに言うリゼだったが、 「フォローになってないよ、強運も怖いかも知れないけど、俺はこの試合を見ている方が怖いよ。」 久遠の目元は、小さく震えていた。 突撃を外されたディサのディファンスは柱に深々と刺さってしまい、抜けなくなっている。 引っこ抜こうとするディサを後目に、イオは補助翼を 装着し、今度はきちんと推進器を作動させた。 『そんなものは捨てろ! まだ武器はあるだろう、馬鹿者!』 サイトウの声にディサはディファンスを捨て、特殊武装の鎖鎌を取り出すと、大きく振りかざし飛び上がったイオめがけて投げつける。だが。 「あらー! 宝箱も置いてあるんですねー! すっごーい!」 フィールドの片隅に設置された宝箱めがけて急降下。 飛んできた鎖鎌の分銅をあっさりと避けてしまう。 「・・・でも中身はダミーですね。」 近づいてよく見れば、あくまでダミーで、ただ光っているだけに過ぎない中身にがっかりのイオ。その後ろから、投げナイフが飛んできた。 「貴様!無視するんじゃない!!!」 「はーい、ごめんなさいねー。 あまりにこのフィールドがかわいらしく出来ていたものですから。」 と、イオが振り返ると、その側をナイフがかすめる。振り返ったことで、やはり「結果として」ナイフを避ける事になってしまった。 「こ、こ、このぉ・・・!!!」 ついにブチ切れたディサ、しかし、繰り出す攻撃をイオはのらりくらりとかわしてしまう。 「・・・。 なんであんなに避けるのが上手いんだ?」 「イオ本人に、『避けている』気が全くない無いからだと思いますよ。」 モニタでその様子を観戦しながら分析をするシンメイ。 「天然の境地を極めた者のみが手に入れられる、ある意味で無我の境地にも通じるものがある・・・ それを会得したのだと思います。」 「この状況見ながら冷静に考えられるお前が羨ましいよ、シンメイ・・・」 冷や汗ダラダラの久遠に、エルガはそっとおしぼりを差し出していた。 『焦るな、ディサ! よく見ろ、相手は接近戦で攻撃する手だてをあまり持っていない! いったん間合いを取って、頭を冷やせ!』 「オーケー、マスター。」 接近戦に移り、膠着状態になりかけた(といっても、避けられているだけなのだが)ところで、ディサは柱の陰へといったん下がった。 ごそごそと陰で得物を用意するディサの姿に、 「じゃぁ、私も・・・そろそろ攻撃をいたしますよ?」 と、イオも対抗して何かの準備にかかろうとした、その時だった。 「くっそぉ、元・在庫のくせに・・・」 ぼそっとつぶやいたディサのその一言に、イオが反応した。 「・・・ディサさん、いま何とおっしゃいました?」 イオの頬が、今までにない引きつり方をしていた。 「白い在庫っていったんだよ、この天然ボケが!」 「い、いま、在庫って言いましたね・・・」 「あぁ、言ったさ。 白い子といえば在庫、一時期は代名詞にもなってたくらいだからな。」 「あっ!!! 馬鹿っ!!! あいつ・・・」 久遠が声をあげた。 「どうした? ・・・あー。ヌシさん、もしかして・・・。」 リゼも、勘づいたようだった。 そしてシンメイも、エルガも。 「にゃー、あの騎士のひと、言っちゃいけないこといっちゃった・・・」 「それも、3回も言っちゃいましたね。。。」 イオに対する唯一のNGワード、それが・・・「在庫」。 以前、何の気なしにCTaが口走って、シャレにならない事態に陥ったことすらある禁断 の単語・・・。 みるみる変わって行くイオのその顔に、モニターを見る久遠と神姫達は、相手のディサが無事であるよう、祈る気持ちへと変わり つつあった。。。 「在庫・・・在庫じゃない・・・ あたしは・・・ 在庫じゃないもん!!!!!!!!!!」 くわっ!と、イオが顔を上げた。そこには、今までの「のほほん」とした表情が消え失せ、目に一杯の涙を浮かべ語るも恐ろしい程の形相となった、 「鬼」となったイオが浮かんでいた・・・! ・・・>続くっ!>・・・ <その10 へ戻る< >その12 へ進む> <<トップ へ戻る<<
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戦うことを忘れた武装神姫 その17 ・・・その16の続き・・・ ・・・リゼは、始めから劣勢だった。 気持ちの整理が付かぬまま、サイトウに威嚇されるかの如く急かされて、 ひとまずの武装とその他の袋を持たせただけで試合開始となってしまったの だ。徐々に防戦一方となるリゼを、久遠は腕を組んだまま、黙ってモニター 席で見ていた。 リゼの戦い方に、久遠は勘づいていた。 リゼが、本気で戦えない理由に。 -リーダー、なぜそんな姿で戦うのですか? ・・・相手は、リゼのかつての仲間、リーダーであったストラーフ・・・。 しかし、そこにはリゼの知るリーダーの姿は無かった。アームどころか搭載 できる限界をはるかに超えているであろう様々な武装から、雨あられの如く 繰り出される、力任せとも取れる技と砲撃。地に足を着ければ、建物に仕掛 けられた爆薬で、降り注ぐ瓦礫。 ここまで攻撃されても、直接相手の「本体」へダメージを与えるような攻撃 を、一切しないリゼ。装備品を狙い投擲、砲撃と、手を変え品を変え、でき る限りの反撃はしているようにも見えたが。。。 相手の反撃に、かけらも 役に立たず。 逃げ回る形になったリゼが呟いた。 -私のことを忘れてしまったんですか? 美しさのかけらもない、がむしゃらな攻撃。ついに、リゼの左リアアームに 炸裂弾が命中し、ちぎれ飛んだ。 衝撃で飛ばされ、壁にたたきつけられる。 敵のストラーフは、背後の建物に大量のミサイルを撃ち込み・・・ 「うわああぁあぁっ!!」 リゼは、瓦礫の中へと埋没してしまった。文字通りの、瞬殺とも言える早技。 勝利を確信したのか、妙な盛り上がりを見せるサイトウ側。対して、静まり 返る久遠側。 埋もれてしまったリゼは、目に涙を浮かべ・・・動けなくなっていた。 -暗い・・・ あの頃の記憶が・・・ あの頃の、哀しい記憶が・・・ -だからこそ、リーダーとは戦いたくなかった・・・ -こんな姿のリーダーを見ることになるなんて・・・ 「もう・・・だめだよ・・・」 瓦礫の中から、久遠に呟くような声で、通信を送るリゼ。 「やっぱり・・・ 戦うことを忘れたい・・・ こんなに、痛くて悲しい だけの事なんて・・・」 しばらくの沈黙のあとに、久遠は静かに言った。 「なぁ。 なんでお前はあの日、記憶を残してもらったんだ?」 -今、それを後悔している- 「まさか、今のように昔を思い出して、悲しむためだったのか?」 -それは、違う- 「何か、大事なモノがあったんじゃないのか?」 -大事なモノ。。。 あの日の暖かい言葉- 「それに、今のお前は『名無し』じゃないだろう?」 -今のあたしは、リゼ- 「あの日の、俺たちとの約束を忘れたのか?」 -!! 忘れるもんか!- 「忘れたなら、ここで終わりにしてしまう。 忘れていなければ・・・」 -そうだ。 あたしは、まだ、いける・・・!!!- 「『リーダー』に、表舞台に立てるようになった姿を見せつけてやれ。」 -・・・! あたしは・・・ あたしは・・・!! しおれていたリゼの目に、光が戻る。 「負けない・・・絶対に負けない・・・!」 瓦礫の下敷きになったリアアームの右腕に、全電力が注がれる。瓦礫が持ち 上がり、状況確認をしに登ってきていた「リーダー」の足下が揺れる。 「あたしは、リゼなんだ! 『名無し』のストラーフなんかに、絶対に負け ないっ!!」 瓦礫が吹き飛び、リゼが現れた。飛び退いていったん待避する敵ストラーフ。 「あたしは、世界一カッコイイ神姫になるんだっ!!」 大きく叫ぶと、リゼは今までにない素早い動きでセットポイントへ戻った。 その姿に、ギャラリーが沸いた。 間近で観戦していたかえでとティナは、 涙すら浮かべている。 瓦礫の山に立つリゼは、今までとはうって変わった 強い意志を持った -あの日、CTaに「記憶を消さないで」と頼んだときと、 同じ強さの- 紅い瞳に変わっていた。 その姿に、サイトウも少しは驚いたようだったが、自らのストラーフの強さ に自信があるのだろうか、 『・・・ふん、こうでないと。 よーし。お前もいったん下がれ。あいつが 装備を整えて出直すまで、ちょっと待ってやれ。』 と、余裕の表情で、サイトウはストラーフに命じた。 「了解しました、Mr.サイトウ。」 相手ストラーフも、一旦セットポイントへ。 「よくできました。 しっかり覚えていたね。」 セットポイントへ戻ったリゼに、久遠が声をかけた。 「へっ、忘れるもんか。 ・・・ありがとうよ、ヌシさん。」 ちょっと嬉しそうな目つきをしたリゼの耳に、 「そうでなくちゃ。あたしが治した神姫じゃないぞ。」 と、別の声が入ってきた。 「CTaのねーちゃん!?」 そう、久遠のモニター席に突如やってきたのは・・・白衣姿のCTaであった。 「いつの間に来たんだ?」 「ついさっき着いたばっかりだよ。」 久遠に訊かれたCTaは、答えながら一体の騎士子-先に逃げ出した、ディサ- を取り出した。 「あっ! 何で姉様がもっているんですか?」 その姿に、イオが驚き尋ねる。 「詳しいことはあとだ。 ・・・リゼ、よく聞け。」 通信用のマイクを久遠からひったくり、CTaはリゼに伝えた。 「いいか。 今の『リーダー』には、プロテクトをかけて無理矢理サイトウ をオーナーと認識するようにしてあるらしい。 その所為で、本来の性能の 半分も出せていない- 、その分を武装とトラップで補っているだけなんだと。 ・・・何が言いたいか、解るな?」 「ふっ、よ〜く解ったよ、CTaのねーちゃん。」 「その呼び方は止めろ。 それから、だ。今まで一度も伝えていなかったけ ど、お前の身体、換えられる所は、全部特殊アラミド樹脂に置き換えてある から。関節も合金入れて強化済みだよ。」 「へっ?」 リゼも、そして久遠も、目が丸くなった。 「確かに・・・言われてみればエルガなんかに比べても、若干とはいえど、 重かった気がするなぁ。」 久遠がエルガを手にとって呟く。 「考えてみ。あれだけの攻撃喰らって、今のお前の身体・・・」 CTaに言われて、今一度自分の身体にチェックをかけるリゼ。 -損傷箇所、 本体には・・・ 「無傷だ・・・。」 驚きを通り越して、リゼは感動すら覚えた。 「あんたを最高にカッコイイ神姫にするって言った以上は、それ相応のこと はしてあげないとねー。」 そう言うと、CTaは一息ついて、一言二言久遠に耳打ち。にやり笑みを浮か べた久遠は、マイクを受け取ると、改めてリゼに声をかけた。 「さぁて・・・ リゼ、ここからが本番だろ?」 その声に、リゼは・・・黙って頷いた。 目に貯めた涙に感づかれないよううつむき加減のまま、自らの背中に着けた リアアームを外した。 さらには、身体の各部に取り付けていた装甲パーツ も捨てた。 ギャラリーがざわめく。 自らの装備を捨てるなんて・・・ 本当に勝負を 諦めてしまったんだろうか・・・ ぐっと涙を拭いたリゼは、傍らに無傷で残っていた自らの装備袋の中から、 妙な物体を取りだした。見た目は、何かのエンジン模型。しかし、妙な配線 がゴテゴテとくっついている。 それをリアアームを外したハンガーへ取り 付け、配線類を自らのボディへ接続。 接続が終わり、再び顔を上げたリゼ。そこには、小悪魔のような笑みを口元 にたたえた、いつもの姿の・・・ 久遠の「リゼ」が立っていた! ・・・>続くっ!!>・・・ <その16 へ戻る< >その18 へ進む> <<トップ へ戻る<<